（ねたばれアリ）

日常に生還したあゆ。そのご褒美は七年間待っていた男の子との再会でした。今はデート中です。ふと、あゆはたいやき屋の前で歩みを止めました。彼女は屋台にあるそれを見ています。
「なんか懐かしいよ」
「食うか？」
男の子があゆに聞くと、彼女は満面の笑顔を浮かべました。屋台のおじさんは手際よくたいやきを焼き上げました。できたてのたいやきが入っている袋が彼女の手に渡されました。男の子はお金を払おうとしましたが、ここで驚愕の事実が発覚したのです。
「たりない？」
それに追い討ちをかけるように。
「うぐうぐ、おいしいよぉ」
・・・・・・・・・・・
大変です。場に重い空気が流れ始めました。
「秋子さんにすがるわけにもいかないなあ・・・」
「うぐ？」
たいやきをほうばるあゆさんの顔は幸せそのものでしたが、空気の重さを読み取ると表情は青ざめていました。
「うぐぅ、どうしよう・・・・」
「俺も俺だが、いきなり食べるお前もお前だ。大人らしく責任とれい」
「ボク、大人になる過程すっ飛んでるんだけど・・・」
「なら子供でもいいから考えろ！」
ボソボソ声で喧嘩です。彼女は考えます。
「うーんと、うーんと・・・ボク一回もされたことないんだけど・・・オシオキかなあ」
「警察といわないところが根性座っていると思うが、それなりには考えたようだな。」
男の子はたいやき屋のおじさんと交渉し、了解を得ました。
「せめて俺が叩いてやるから、諦めろ」
「・・・・・・・」
「な？」
「うん、大人になるって大変なんだね・・・」
あゆは責任を取る大切さを学びましたとさ。